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インド流教育:グルクル・パッダティ

競争社会を生きるインドの若者たちは、もはやシングルスキルでは就職に足りません。インドの町を散歩してみると、いたるところに「自己啓発クラス」や「英語会話教室」の看板、そして「3か月でコミュニケーション力を伸ばす方法」などといった広告が目につきます。今、人々はいかにコミュニケーション力を伸ばすか、どうやって自分に自信を持てるのかに注目しています。

インドには「グルクル・パッダティ(以下グルクル)」呼ばれる、伝統的な教育制度があります。「グル」はサンスクリット語で「師」、そして「クル」は「家族」という意味です。

グルクルはその名の通り、子どもたちが師匠の家で家族のように生活をし、師の身の回りの手伝いをしながら「目上の人を敬うこと」や「良い習慣」、「社会についての正しい知識」など、人生に必要なことを学ぶ教育制度です。グルクルを通して、子どもたちは集団生活に必要な協調性やリーダーシップ、コミュニケーションスキルを身に着けることができます。

近年、就職や進学のために大量のインプットを余儀なくされる教育制度におされ、グルクル教育はほとんど見られなくなってしまいました。一方で、子どもたちのコミュニケーションスキルや自尊心、モラルの教育がおろそかになり、それを危惧する声も強まっています。グルクル教育をもう一度普及するべきだという人も多くいます。

教育とは何のためにあるのでしょうか。それを問い直す時が来ているのかもしれません。