
- 今さら聞けない「CATツール」とは?翻訳現場で活躍する主要な5つの機能を解説
「Trados Studio」「memoQ」「Phrase(旧Memsource)」などの名前を聞いたことはありますか?
これらは、翻訳業界で広く使用されているCATツール(Computer-Assisted Translation Tool:翻訳支援ツール)と呼ばれるソフトウェアです。
CATツールは、機械翻訳(MT)とは異なり、人間の翻訳者がより効率的かつ正確に作業できるよう支援するためのツールです。
翻訳の一貫性を保ちつつ、納期の短縮やコスト削減を可能にするため、今や多くの翻訳会社にとって欠かせない存在となっています。
本コラムでは、翻訳会社が日常的に使用しているCATツールが実際にどのような機能を持ち、どのように翻訳の質と効率を高めているのかをわかりやすく解説します。- 翻訳現場で活躍する主要な5つの機能
1. 翻訳メモリ(TM:Translation Memory)
過去に翻訳した文章をデータベース化し、同じまたは類似の文が登場した際に自動で再利用する機能です。
例えば、製品マニュアルや契約書など、同様の表現が繰り返される文書においては、作業効率の大幅な向上が見込めます。
これにより、一貫性のある翻訳とコスト削減が両立可能になります。
2. 用語集(Terminology Management)
企業ごとに異なる専門用語や製品名、ブランディングに関わる言葉などを登録・管理できる機能です。
翻訳中に登録された用語が原文に含まれている場合、翻訳者に自動で通知され、誤訳や表記揺れを防ぎます。
特に医療・法務・IT分野など、正確な用語使用が求められる領域では重要な役割を果たします。
3. セグメント化(Segmenting)
原文を意味のある最小単位(通常は1文)に分割して表示し、翻訳作業をしやすくする機能です。
1つのセグメントに対して1つの訳文を対応させることで、作業の見通しが良くなり、チーム翻訳でも整合性を保つことができます。
4. 一致率マッチング(Match Rate)
翻訳メモリにすでに登録されている文との類似度をパーセンテージで表示する機能です。例えば「完全一致(100%)」「部分一致(75〜99%)」などの指標が表示され、翻訳者はこれを参考に効率的な判断ができます。
一致率が高いほど再利用しやすく、納期の短縮にもつながります。
5. QAチェック機能(Quality Assurance)
数値や日付の誤記、用語の不一致、訳漏れ、句読点のミスなどを自動検出する機能です。これにより、ヒューマンエラーを最小限に抑え、高い品質の翻訳を安定的に提供することが可能になります。
最終チェックの強い味方として、多くの翻訳会社が重視しています。- まとめ:CATツールは翻訳の「質と効率」を両立させる
CATツールは、翻訳作業の効率化だけでなく、「一貫性のある高品質な翻訳」を実現するための強力なサポートツールです。
翻訳会社では、これらの機能を活用しながら、クライアントのブランドや専門性に配慮した翻訳サービスを提供しています。
「大量の文書を短期間で翻訳したい」「業界用語の表記を統一したい」といった課題をお持ちの場合は、CATツールを活用する翻訳会社への依頼が最適な選択肢となるかもしれません。