コラム詳細

「翻訳」という行為に対しての認識の違い

19年8月2日にJcastニュースでこのような記事が出ていました。
「文大統領の『盗人猛々しい』発言報道 韓国メディア日本語版では、どんな表現?」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190802-00000013-jct-sociより

どんな内容かは上記URLを観て頂くとしまして、
この事案について私が思うことを述べさせて頂こうと思います。


(青瓦台サイトの動画より)

上記にも書きましたが、
今回の事案にはそれぞれの方が持つ「『翻訳』という行為に対しての認識の違い」が
あるのではないかと、私は考えております。

皆様は「翻訳」という行為が持つ意味を正しくご説明できますか?
※いきなり試すようなご質問で申し訳ございません。

<goo辞書では>
ある言語で表された文章を他の言語に置き換えて表すこと。また、その文章。「原文を翻訳する」

<広辞苑無料検索では>
ある言語で表現された文章の内容を他の言語になおすこと。
二葉亭四迷、余が翻訳の標準
「苟いやしくも外国文を―しようとするからには、必ずやその文調をも移さねばならぬ」。

<コトバンク 世界大百科事典 第2版の解説では>
一般に翻訳とは、ある自然言語の語・句・文・テキストの意味・内容をできるだけ
損なうことなく他の自然言語のそれらに移し換えることをいうが、
とくに文学作品の、ある自然言語から別の自然言語への移し換えをいう場合もある。
また、翻訳という言葉は翻訳の行為・活動・過程を指すこともあれば、
翻訳の産物・作品を指すこともある。


WEB上でも色々と「翻訳」に関して、意味の説明がされています。
ただ、goo辞書と広辞苑無料検索のように、
「他の言語に置き換える/なおすこと」
と記しているものもあれば、
世界大百科事典のように、
「語・句・文・テキストの意味・内容をできるだけ損なうことなく
 他の自然言語のそれらに移し換えること」と
比較的詳しく記しているものもあります。

一口に「翻訳」といっても、
様々な認識があることはわかって頂けるかと思います。

「翻訳」に対して皆様の認識は?

一つ一つの言葉が持つ意味は、
そのほとんどが全員の頭の中で統一されておらず、
それぞれが曖昧な認識のままで過ごしているのではないかと思っています。

先程取り上げた記事の末にも、
「韓国語に詳しい人たちが、今回の文大統領発言の『盗人猛々しい』訳について、
 間違いではないか、いや違和感ない、といった意見を表明している。」
と書かれています。

結局、日本語に対して色々な判断基準があるように、
外国語にも色々な判断基準があります。

判断基準を統一することは難しく、私もいつもその点に悩まされています。

そのため、いつも企業の担当者様と話し合いを重ね
その点に気を付けております。

「翻訳」を行う際に大事にしたいこと

正解かどうかはわかりませんが、
私がいつも翻訳の際に大事にしている事は「翻訳した文章を誰が読むか?」です。

翻訳語を目にする方の多くは
女性なのか、男性なのか?
若年層の方か、ご高齢の方か?
など、ヒアリングを重ねます。

それによって、翻訳者は対象者のイメージができ、
その方々が読みやすい、または違和感を感じないなどの翻訳を心掛けることができるからです。

ただ、その方法が正解とも思っておりません。
「翻訳」という行為は改めて難しいと考えさせられる、今回の事案でした。