コラム詳細

翻訳のおもしろさ

はじめまして。営業部の田中です。
8月1日からアイコスに入社しました。
前職も翻訳会社だったので、
翻訳業に携わってかれこれ11年半になります。

私は映画が好きなのですが、職業柄か職業病か、
英語のセリフと字幕を比較しながら観るのが楽しみのひとつです。
字幕には文字数の制限がありますので、
限られた文字数の中でいかに原文のニュアンスを表現するか、
翻訳者の試行錯誤が感じられます。
中には首をかしげてしまうような翻訳もありますが、
時には舌を巻くような翻訳もあり、翻訳の奥深さを感じます。
また、「自分ならいまのセリフはこう翻訳するな」と考えるのもおもしろいです。

個人的にガッカリしてしまった翻訳として、
映画『ジャスティス・リーグ』の中で、
ザ・フラッシュというスーパーヒーローとバットマンが、
下記の会話をするシーンがあります。

“What are your superpowers again?”
“I'm rich.”

この会話の字幕はこうでした。

「あなたの能力って?」
「“金持ち”だ」

この翻訳は決して間違いではありません。
ですが、「能力」を聞かれているのですから、
そこは「財力」と返すべきだろう!と思うのです。

翻訳の「正しさ」はもちろん大切ですが、
翻訳における「正解」はひとつだけとは限らず、
また「正しい」だけでは「良い翻訳」とは言えないケースもある。

翻訳への興味は尽きることがありません。