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春の到来、色の祭典“ホーリー”

インドのホーリーという祭りをご存じですか?赤、青、緑、黄。。。色とりどりの粉と水をかけあう賑やかなお祭りです。色と愛と春の祭りといわれ、豊作を祈願し、冬が終わり、春が来たことを祝う行事です。この祭りは主にインド北部とネパールで盛んにおこなわれており、多くの州でこの日は休日になります。地域や階層によって祝い方に違いはあるものの、インドのヒンドゥ-教3大祭り(あとはダシェラ、ディワーリー)のひとつで、毎年3月に2日間にわたって行われます。
1日目の夜にはホリカ・ダハン(ホーリカーの燃焼)またはリトル・ホーリーとして知られる儀式でかがり火が焚かれ、人々は火の周りに集まり、歌と踊りに興じます。この背景には次のような神話があります。

“ホーリー”の由来

ヒラニヤカシプという無敵の魔物がいました。ところがその息子プラフラーダは、そのような父親を持つにも関わらず、あろうことか一族の宿敵であるはずのヴィシュヌ(ヒンドゥー教の神様)を熱心に信仰していました。信仰をやめないプラフラーダを見てヒラニヤカシプはわが子を激しく叱りましたが、その考えを変えることができませんでした。そこで妹のホーリカーの力を借りてプラフラーダを焼き殺そうとしたのです。しかしヴィシュヌの加護を受けているプラフラーダはまったく無傷で、逆にホーリカーが業火に焼き尽くされて死んでしまったというお話です。そこから、このホーリカー・ダハン(ホーリカーの燃焼)が行われるようになりました。

その後、ヴィシュヌの化身であるナーラシムハ(半身がライオンで半身が人間の姿)が現れ、ヒラニヤカシプを自身の膝の上で引き裂き殺しました。この神話から、ホーリーに善が悪を懲らしめる悪魔祓いの意味も加わりました。

2日目のクライマックス

さて、翌日2日目にサンスクリット語でDhuli(ドゥリ)としても知られるホーリーが祝われます。この日ばかりは無礼講、カースト、性別、地位、年齢などを忘れ、老いも若きも、金持ちも貧乏人も、インド人も日本人も(?)この日はみんな一緒になって、同じ色に染まり、楽しく笑い、歌い、ダンスに興じる機会が得られるのです。色のついた粉の水を互いに吹きかけ、「ハッピー・ホーリー」と叫びながら、色粉を互いの顔に塗りつけ、笑い合って祝います。

その後は、シャワーを浴び、きれいな服に着換えて友人や家族の家を訪問します。そこでは、ホーリーのスイーツ、グジャ(お菓子)などのデザート、飲み物がふるまわれます。

使われる色粉

祭りに使われる色粉ですが、あんなにしっかり粉を被って色が落ちるのかな、と心配になりますね。顔や手はキレイになりますが、服についた色は落ちません。もし、ホーリーに参加するおつもりでしたら、いらなくなった服をご用意ください。

これらのカラフルな粉は、天然素材から作られます(現在は化学製品も使用しているようです)。赤は紫檀(シタン)、ハイビスカスの花、茜(アカネ)の木などから、黄はターメリック、緑はメヘンディ、青はインディアン・ベリーなど。冬から春への気候の変わり目にはウイルス性の風邪や発熱が引き起こされることがあります。そこでアーユルヴェーダの医師たちが推奨するターメリック(ウコン)などの医薬用ハーブから作られた色粉は健康を守る意味もありました。祭りにはしっかりと生活の知恵も生かされています。

この独特なインドの祭り、体験してみませんか?